トップ写真>熊猫を論ず

 
 

 パンダを使ったキャラクターは世に溢れているが、 よくよく冷静に見てみるとカワイクナイものも多い。社長によれば、「大半はパンダへの愛が欠如している」という。
 そこまで言うのは極端だが、例えば一昔前に流行った「たれぱんだ」などは、本当にカワイイのか、疑問が残る。ダリの時計の絵にも似た、その妙な質感と非現実感は、「きもかわいい」ならぬ、「シュールカワイイ」というべきものではあるまいか。
 とにかく、パンダを用いたキャラクターを手放しで「カワイイ」と言うことには、懐疑的にならざるを得ない。

 このような目で見れば、新たな視野がおのずと開けてくる。

 たとえば、これを見て頂きたい。
   
 単体なら見ようによってはカワイイが、何個も並んでいると多少おそろしげでもある。

 これもまた、さらし首のようである。
   
 そして、ここまでデフォルメすると、実にかわいくなくなってくる。

 かと言って、パンダをリアルに描くとこうなる。
   

 そもそも、パンダはリアルで見てかわいいものなのかどうか。
 かつて、まだ上野公園にパンダが健在だった頃、 真夏なのに冬眠しているような鈍重なパンダを見たことがあるが、 あまりかわいくなかった。
 しかし、テレビで四川のあたりの子供パンダを写した映像を見ると、これは実にかわいい。 ころころもこもこしているのが、ころころもこもこ動き回るのだから、相当の破壊力だ。

 概して哺乳類は、大人よりも子供の方がかわいい。
 してみると、パンダのキャラクターに関しても、子供のパンダを描くべきであって、大人のパンダを描いてはならない。 手足を細長く描くなど、論外であろう。
    
(パンダが二十四式太極拳をしている柄のTシャツ。これを見ながら練習しようとしたのだが、よく考えたら自分では自分が着ているTシャツを見ることはできない。)


 自分のコレクションを見渡してみて、かわいくないパンダの写真ばかりあるのは、撮影者の趣味というバイアスがかかっているためではあるが、それにしても、「パンダ=カワイイ」というフィルターを外して見ると、なんとかわいくないパンダが多いものか、と気付かされる。 それどころか、「かわいくないパンダ」という前提で作られたキャラクターすらある。

 ・京成パンダ
   

 ・パンダザラシ
   

 ・熊猫人
    

 ・パンダ仮面
   

 こうなると、「パンダはカワイイ」という認識は、迷信だったのか、それとも都市伝説だったのか、とも思われてくる。

 着ぐるみを着てみたって、カワイクナイものはカワイクナイ。
   


 そのようなことを考えていたのだが、ある日、社長がレターセットを見つけてきた。

  
  

 うむ、これはかわいい。
(2010.9.15)
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