トップ写真>映画「転々」

 映画はたまにしか見ないのだが、それでも好きなものはいくつかある。中でも、あまりメジャーではないという理由で、よく人に薦めるのは、「茶の味」「調布空港」そして「転々」である。いずれもB級映画的な雰囲気を持ち、独特のこだわりを爆発させながらも、結末できっちり落とすところがよくできている。もちろん、最大の長所はストーリーではなく、やはり細部への独特なこだわりである。ここでは、「転々」に登場する、数々の名シーンを紹介しよう。

 ・「アフガニスタソ救援募金」
   
 借金返済の期日が迫っているのに、80万円も用意できず、パチンコでもスってしまったオダギリジョー。そこに募金を呼びかける少女たち。しかし、「アフガニスタソ」。アヤシイ。もちろん、ジョーは募金なんかしないで、「なんでオレがしなきゃいけないの」と言う。なお、撮影場所は、西武多摩川線新小金井駅のように見える。

 ・驚異のシンクロ
   
 「東京中を散歩するのに付き合ってくれれば、百万円やる」という三浦友和を待つジョー。その目の前を横切って行くのは、腕を組んで歩くアベック、腕を組んで歩くアベック、そして、腕を組んで歩く警官とホームレス。キョーレツ。撮影場所は井の頭公園。

 ・一輪車三人組
   
 一輪車で列をなすサラリーマン三人組。鞄を持つのみならず、先頭の男は携帯電話で喋ってる。撮影場所は、井の頭公園から吉祥寺にかけての通り。

 ・「呪い祭り」「放蕩祭り」
   

 ・「オーギョーチイ」
   

 ・驚異のシンクロpart2
   

 ・驚異のシンクロpart3
   

 ・左右が空き地のボロ家、及びその屋内
   

 ・とんかつ茶漬け
   
 新宿にある店らしい。

 ・「正確時計店」
   
 実在するのかは不明。ここで三浦が店主に「こういう小さな町の時計屋って、どうやって生活してるんですか」と訊いて、蹴られた。

 ・「スナック時効」
   
 これはさすがに実在しそうにない。

 ・「アワヤマンション」
   
 三浦の妻の様子を見に、職場仲間が来たシーン。「あわやマンションになるところだった、ってか?」「いや、しっかりマンションだろ」というやり取りが交わされた。なお、その後、岸部一徳に注目しているうちにロケのエキストラに参加し、結局マンションには入らず。

 ・トカゲと花瓶
   
 小泉今日子の家の玄関にあるものたち。モヒカン状に草が生えている花瓶は、ジョーの髪型に負けないインパクト。

 ・「あぶどら肉店」
   
 「肉屋」を英訳すると「butcher(ブッチャー)」。すなわち、この店は「アブドラ・ザ・ブッチャー」というわけだ。本当に芸が細かい。

 もうとにかく視覚はネタ満載。なお、聴覚的には、途中途中で「ジュ・トゥ・ヴ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」などの名曲がなかなか良い編曲で流れ、まとも。しかし、吉高由里子が「めだーかでーすよー、かわーのなーかでーーーすよー」という迷曲を披露するなど、やはりネタも爆発。
 ぜひ一度ご覧になることをお薦めしたい。
(2011.3.30)
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