トップ音楽
  E. A. L. サティ:「胎児の干物」 より 第1曲「ナマコの胎児」
    Erik Alfred Leslie Satie: Embryons desseches ? “d'Holothurie”


 「胎児の干物(Embryons desseches)」というのは、「ナマコの(d'Holothurie)」、「甲殻類の(d'Edriophthalma)」、「柄眼類の(de Podophthalma)」の三曲から成る曲集で、いずれも胎生ではない生物の胎児について描いたもの。中でもこの「ナマコの胎児」は、非常に(ナマコの動きとは思えない程に)軽快でコミカルな名曲。
 以下は、これに附せられた序文と、譜面中の演奏指示。

 序文
無知な人はこれを“海のキュウリ”と呼ぶ。ナマコはいつも石や岩場の上によじのぼる。この海の動物は、猫のようにゴロゴロ喉を鳴らし、その上、絹糸のようなものを放出する。光の作用はナマコを不快にさせるようだ。私はサンマロ湾で一匹のナマコを観察した。

 演奏指示
朝出掛ける 雨降り お日様は雲の中
とっても寒い いいね!
ちょっとゴロゴロ なんてすてきな岩壁! 素晴らしい人生!
(抑えて)(速度を落として) 歯が痛いナイチンゲールのように

(もとへ戻る)
夜の帰宅 雨降り 太陽は出ていない 再び出てこないなら
とっても寒い いいね!
皮肉っぽくちょっとゴロゴロ とってもきれいな岩! とてもベタベタ!
笑わせないで 海藻の端 私をくすぐる
煙草は持ってない 幸い私は煙草を喫わないから
(壮大に) あなたのよいこと
                        (訳:河図國蔵)

(2011.6.24)

上に返る