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  C.フランク:「プレリュード、フーガと変奏曲」op.18より変奏曲
    Cesar Franck: Prelude,Fugue et Variation Op.18: Variation


 2週間程前に、駒場祭オルガン演奏会が行われた。今年で4回目であった。早いものである。かつて第1回に1年生として出演した後輩も、もう4年生、間もなく卒業する(そして、私が卒業するのは、いつになるのであろうか)。
 3年前の演奏会で何を弾いたのだろう、と調べてみれば、フランクの変奏曲であった。懐かしい。そして、「懐かしい」という言葉がよく似合う雰囲気の曲である。
 ところで、その時の全曲目中で「BWV(バッハ作品主題目録番号)」が付いていないのはこれのみであった。オルガン同好会は、今でこそ近代の曲も多く弾いているが、当時はバッハを始めとするバロックで固められていた。900番教室のオルガンではロマン派は弾けないもの、という固定観念が強かったのだ。パンフレットにも、以下のように書いてある。

900番のオルガンは、バロックまでを得意とする(すなわち、ロマン派以降は無理がある)というのが定評のようです……(中略)……今回はロマン派中のロマン派、フランクの曲をうまく弾きこなせるのかどうか、多少冒険です――冒険こそ、ロマンです。ロマン派です。

 弾いてみれば、このロマン溢れる冒険もうまくいったような感触だった。
 ところが、先日、もっと響きの良い講堂のオルガンで、ほぼ同じ曲であるプレリュードの方を弾き(右手と足鍵盤は全く同じで、違いは左手の動きのみ)、帰宅後に録音を聴いてみたのだが、愕然とした。久しぶりでろくに練習もせず、遊びのつもりで気楽に弾いたのだが、音色と響きの佳さが、演奏のいい加減さを補って余りある。
 やはり、向き不向きはある。
(2010.12.7)

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