トップ写真>外来語について2

 

 時折、外来語の使い方に疑問を感じることがある。
 左上の写真は「カフェ・レストラン 栗・マロン」という店の看板だが、「栗」と「マロン」は重複というものであろう。右上の写真は大学の広告の一部で、「スカラシップ奨学金」という奨学金を宣伝するものだが、「スカラシップ(scholarship)」というのは奨学金のことなのだから、やはり意味が重複している。重複しているのみならず、固有名詞としておかしい。もし「マウンテン山」という山があれば滑稽だし、「印刷機プリンター」というのが商標登録できるとは思えないだろう。


 また、重複という他に、アルファベットと日本語との対応がビミョー、というものもある。

   
 「Deneii」で「デンエー」。

   
 「Angel Home」なのに「エンジエルハイツ」。

   
 国際化進む浜松町にて。もしかすると、日本人には「グルメ」と宣伝したいのだが、西洋人に胸を張って「Gourmet」とは主張できない代物なのかもしれない。ならばカタカナで書けばいいのに、わざわざ「Gurume」なんてするのが、やはりおかしい。
なお、類似のもので、「Furansu」という名前のパン屋が、かつて多磨霊園駅前にあった。

   
 ここで肝心の「美観」を訳出せず、敢えて「Bikan」としているのは、やはり西洋人には「Beautiful」などとは主張したくなかったのだろうか。


 もしかすると、こういったことは、外国語の能力・感性が不足しているのに、ネイティブチェックを受けるだけのゆとりがないために生じるものなのかもしれない。
   
 「下げ・物・口」だから「A fall thing mouth」というわけである。中国語も同様に「下降(下げる)東西(物)口」となっている。まったく外国語的センスが感じられない作品である。
 これが貼ってあったのは、かつての羽田空港国際便ターミナルにあった喫茶店。初めて日本に来た外国人たちは、この喫茶店によって、日本では英語が通じそうもないことを知り、覚悟を決めたことであろう。

   
 「Tokyo Church of Christ」を訳せば、確かにこうなるのかもしれない[14]。日本人にちょっと見せればすぐに直してもらえただろうが、ネイティブチェックを受けるというのは、なかなか面倒で、つい省きたくなることなのかもしれない。日本で日本人からネイティブチェックを受けるのすら難しいのであれば、欧米人からチェックを受けるというのはなお難しいだろう。


 或いは、外国語に対する感覚やネイティブチェックの有無の問題ではなく、単にそもそも名前の意味に対して無頓着、という可能性も考えられる。響きやインパクトのみを追求しているために、名前は二の次になっているということである。

   
 電子辞書なのに「しるか」というのはヒドイだろう。

   
 外来語やローマ字という問題からは離れるが、「築地」なのに「日本海」。ついでに「インドマグロ」。

   
 「酒・ビール」。あるいは、ビール程度のアルコールでは酒のうちには入らない、ということなのであろうか。
(2010.9.17)
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