トップ写真>大阪にて2

 前回は、道頓堀やその周辺という、メジャースポットの写真を中心に、大阪の派手さとパワーとネタ好きについて考察した。謂わば、基礎知識編である。
 そこで、今度は少し離れて「十三(じゅうそう)」という地域について取り上げよう。なぜ道頓堀の次に十三かというと、私が行ったことのある場所が、このくらいだからである。

   

 阪急電鉄に乗って十三駅で降りると、キョーレツな出迎えに遭う。
   
 病院の広告なのであるが、とにかくこの「十三(とみ)ちゃん」の宣伝かというくらい、ぬいぐるみの写真がでかい。
 駅構内の広告というのは、かなり高額の広告料を収めなければならないのが普通であるが、ここで大枚をはたいてこんな写真を大きく貼り出すのだから、ウケ狙いとしか思えない。さすが大阪である。

 駅から出て、商店街の傍を通ると、更に凄まじいものを見つけた。
   
 アトムでも波平でも、混ぜてしまえば問題無いというのは、かつてのサザエボンを思わせる発想である。しかし、これを商店街のマスコットキャラクターにしてしまうのだから、気合の入り方が違う。そういえば、「波平ジョニー」という居酒屋もあったが、大阪人は波平が好きなのだろうか。

 このあたりは、なかなかお盛んな繁華街なのだが、店名もやはり尋常ではない。
   
 「俗武者」などと、いかにも俗っぽい名前にしてしまうのが、逆にオシャレにも思われて来る。そうなると感覚は麻痺し、もう罠に嵌まったも同然である。普通の店名では物足りなくなり、更に刺激的な名前の店にしか入る気がなくなっていくのだろう。大阪の店名には中毒性があるのかもしれない。

 ここでパロディを一発。
   
 まず、「タコヤキナン」とはいかなる食べ物かと思う前に、「コ」「ナン」が太字で、フォントも例のマンガの題字そっくりになっていることに気が付く[24]
   
 当時は、なんじゃこりゃ、と思ったのだが、どうやら、元々は「名案内コナン」であったために、このような店名になったらしい(産経ニュース 2009年12月20日)。
 なお、噂によると、十三には、他にも「ジャパネットたかお」という案内所もあるらしい。

 これまで、道頓堀と十三について紹介して来たが、他の地域でもお笑いが存在することを示したい。下の写真は駅で見かけた看板。
   
 「大阪キリスト教短期大学」の略称が「きりたん」。なんだかアニメキャラクターの愛称を狙ったかのようだが、「キリシタン」にも見えてくる。まぁ、キリシタンに違いはないだろうが。うっかりの可能性もあるが、大阪のことだから、おそらくわざとであろう。

 こういったネタが、大阪には満ち満ちている。とにかく凄まじい街である。
 そして、そのネタエネルギーは、周辺にも波及しているのかもしれない。以下は尼崎で撮影した看板(ここでは、掲載に当たって、家名の部分が見えないように編集を加えてある)。葬儀社の名前がヒドイ。しかも、この日は2009年12月4日、すなわち金曜日。
   
 確かに、一般に日本の葬式は、そのまま宴会になることが多いが、しかし、それにしても、よりによって金曜日の葬儀を「花金」という会社に頼むことはないだろう。「花金」というのは、今では死語なのかもしれないが、遺族の年代で誰も知らないはずはない。やはり、故意に選んだのではあるまいか。ネタのために。

 我々は、もっと大阪文化を研究しなければならないだろう。ネタとして。
(2010.9.28)

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