トップ写真>選挙ポスター列伝


 年々下がる投票率、誰が言ったかノンポリ時代。それでも候補者は必死で、何とか議席を得ようと、自分の名前をひたすら連呼する。サブリミナル効果も何もあったものではないが、政策云々よりもとにかく印象付ける方が先である。
 そんなこの頃の選挙事情であるが、その中で各候補者が手間隙かけて作るのが、選挙ポスターというものである。公約がほとんど四大ビールメーカーの小売価格の如く横並びな現状、顔で選ばせようとするのがポスターの役割である。写真に加工を施し、少しでも若々しく頼もしく親しみやすくまとめ、ついでに「みんなで安心できる社会を目指して云々」「笑って暮らせる世の中を実現して云々」といった差し障りの無い抽象語をくっつける。ここらへんが相場といった具合か。
 しかし、それでもアホなものを作ってしまう連中もいる。又吉氏のものは余りに高名なのでここでは取り上げないが、他にもネタは色々あるものである。

   
 なんだか顔色が黒いなぁ。ちょっと病気っぽい。

   
 かといって、ここまで顔色よく加工されてもどうか。そもそも、表情が気持ち悪い。

   
 顔色とは違うが、小首の傾げ方がイラッと来る。

   
 小首を傾げるというレベルを超えて、90度違う。文字通りの意味で、首を傾げて見ざるを得ない。もっとも、これは、ポスターを作った側ではなく、貼ったヤツの問題である。

   
 府中のマタヨシ、とも言うべき存在で、今後の成長が注目される人物である。政教分離がどうなっているのかはよく分からんが、こんなにでかでかと書かれたら、大國魂神社もいい迷惑であろう。なお、「e92kuwa(いい国クワ?)」で検索すると公式ブログが出てきて、プロフィールには「府中市長選挙の立候補経験者です。14,125票(次点)」と書いてある。しかし、立候補者は3人で、当選者の獲得票数は44,154票、3位は12,533票なのだから、「次点」と言ってもそれほどではない。

   
 選挙とは違うかも知れないが、「人材募集」ならぬ「人財募集」のポスター。「人は財産」と言いたいのかも知れないが、これでは「人・財を募集」、すなわち「カネも欲しい」という本音がにじむ。

   
 候補者一覧の写真が、自画像。しかも漫画絵。いいのか、これは。

   
 ポスターも絵。とことん顔は出さない。この絵柄、どこかで見たことがあると思ったら、『金田一少年』の作者だ。まさかドクター中松と共に大川隆法の軍門に下っていたとは。
 余談ながら、幸福実現党、前回の総選挙では各選挙区に候補者を立てたらしく、党派別立候補者数で自民党や民主党よりも「諸派」が多くなるという前代未聞の偉業を達成している(「諸派」というのは議席が少ない小政党群をまとめて呼ぶ言い方で、通常これに分類されるのは候補者の内ごく少数)。いずれも獲得票数が規定を満たさず、合計約11億円もの供託金を全て没収された。なかなか豪気である。

 このように、まぁ、「人生いろいろ、ポスターもいろいろ」である。しかし、小首を傾げた蓮舫氏が大量得票したように[26]、ポスターの出来栄えと選挙結果は必ずしも関係しないのではなかろうか。如何に修正を加えようと、顔写真で受かったり落ちたりするわけではないのだ。
――もっとも、「落ちた顔」の写真なら存在するが。

   

(2010.10.2)
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