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 JR上越線越後川口駅の前には、「安田屋」というスーパーがある。2004年の中越地震で全壊したが、その後すぐに営業を再開し、旧川口町民のライフラインを担っている[8]
 ところで、この「安田屋」、「やすだや」と読んではならない。「あんたや」である。そう、イントネーションは異なるが、「あなたのことよ」という意味を表す「あんたや」と同じ読みである。
   

 このように、「○○や」という発音を利用した店舗は、たまに見かける。例えば、次の写真は千歳烏山駅前にある立呑み屋「なんでや」。帰りが夜遅くなって、食事はもういいけれど生ビール一杯だけ飲みたい、という時に便利で、時々利用している。ただ、店名にツッコミを入れたことは、まだない。
   

 しかし、こういった中部・関西系の方言を利用した店名というのは、まだおとなしい方である。時として、「○○や」は命令形にもなる。
   

   
 靴屋で「あるけや」というのもなかなか凄いが、「旅館とまれ屋」は最早暴力的にすら感じる。新宿歌舞伎町の客引きだって、今時「よってけや」なんて言わない。その点、「かざりや」というのは、まだ命令形に聞こえない余地があるから、多少はマイルドである。
   

 命令形でも親切なのが、「かめや」。やはりよく噛んで食べた方が健康にいい。
   

 命令形云々という話ではないが、ちょっとヒドイと思うものに、「おまる屋」がある。便器を売っているわけではなく、居酒屋である。
   

 また、これと似ていて、もう少し上品なものに、「酒と味どころ たばこや」なんていう店もある。ただ、どうやら鳥取地方の方言で「ひと休み」を「たばこ」というらしいから、言葉として誤ってはいないようだ。間違えてタバコを買いに来た人のために、一応の用意があると信じたい。
   

 それから、「○○や」からは外れるが、「○○えん」というパターンもある。
以下は、「けんしょうえん」に「しょくどうえん」。どっちも痛そうだ。
   

(2010.9.14)
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