トップ写真>店名について2


 変わった店名には、凡そ三つの種類がある。
 ①明らかなウケ狙い
 ②偶然何かと一致したもの
 ③よく分からないもの

 ここではまず①について考察してみよう。これは、店名について1で紹介した「あるけや」「とまれ屋」の類で、どう考えても故意に冗談のようなネーミングにしたものである。なお、明らかに何かを狙っているものは、特に大阪に多いのだが、大阪については別項を設けることとする。

 ・「お食事処 高田の馬場」
   
 姫路城門前の飲食店。
 何か別に由来があるのかもしれないが、少なくとも東京の人間は「え? 高田馬場??」と思って入ってしまうだろう。私は入らなかったが。
 全国的に見ても、東京の高田馬場の方が有名だと思う。何しろ、天馬博士がアトムを作った場所なのだから。

 ・「マザコーンスープ」
   
 学園祭の屋台だから、もうこの店は存在しない。貴重なワンショットである。
 とにかく、略称を狙っているのは確実である。

 ・「宮本むなし」
   
 説明の必要はないであろう。
 なお、どうやらこれはチェーン展開をしているようである。東京以外でも、岡山で見かけた記憶がある。

 ・「BONSAI ART」
   
 「盆栽」を英訳したらこうなるのだろうか。何となく「HITOKIRI Knife」を思い出す響きである。
 余談だが、最近、駅構内で流れている英語による案内放送で、地名の部分だけ日本人の声に取り替えられているものを聴いた。 「This train bound for とうきょう, the next station is むさしこがねい」といった具合である。 いきなり別人の声になったのも原因の一つであろうが、英語が流れている中で突然日本語の平板な発音が出てくると、リズムとして非常に違和感を覚え、気持ち悪い。 日本語として不自然でも、“Tokyo” “Musashi Koganei”といった具合に、「如何にも西洋人です」というような発音で読んでくれる方が、耳に優しいと思う。

 ・「コックピット根城」
   
 八戸市の根城という地域にあるものだから、特に狙った名前ではないのかもしれないが、何だか強そうな名前である。

 ・「Pachinko 北大」
   
 これも根城にて撮影。ここらへんのおじさんは、「ちょっと北大いってくるわ」なんて言って家を出るのだろうから、これはニクイ。

 ・「買入 中(あたり)」
   
 たぶん「中(あたり)」さんという方が経営している質屋。「買入中(かいいれちゅう)」と読まれることを自覚しているから、こうやって小さくルビを振っている。つまり、紛らわしいのを承知でこの名前にしたということである。

 ・「トマト銀行」
   
 今回取り上げる中では恐らく最も大きな会社。どうして銀行がこんな名前にしてしまったのだろう。しかし、銀行ほどの巨大企業であれば、どんな名前にしても中身を怪しまれることがないという利点はある。
 そういえば、ガラス戸いっぱいに並んでいるこのマーク、真上から見たトマトということなのだろうが、心なしか穴開き銭に似ていないこともない。

 ・「トマトリース株式会社」
   
 トマト銀行の系列会社。「トマト」で「リース」と来ると、まるでトマトを株分けして貸し出しているかのようである。尤も、これは狙っていないのかもしれない

 ・「狐狸庵」
   
 最初の二文字は、まるで化かし合いのような漢字の並びだが、中国語ではキツネのことを「狐狸」というのだから、それほど不思議ではない。しかし、この二字の後ろに「庵」をつけて、「コリアン」としたら、話は変わって来る。
 韓国の人が見たら怒るかもしれない。

 ・「金大楼」
   
 注意すべきは、金太郎のようなマスコットがいるのにも関わらず、二字目が「太」ではなく「大」であることだ。店員や常連客が何と呼んでいるのかは分からないが、間違い探しのような店名は、やはり狙って付けたものと考えられる。

 ・「桃太郎JEANS」
   
 金太郎と来たら桃太郎も挙げて置かねばなるまい。
 特におかしな店名ではないが、桃太郎がジーンズを穿いて生まれてきたという設定が面白い。もっとも、岡山だから桃太郎、という連想自体は安直だが。

 ・「ラーメン春夏冬」
   
 これはなかなか考えたネーミングである。「秋」が無いから「あきない」、つまり「飽きない」ということであろう。もしかすると、「商い」も掛かっているのかもしれない。

(2010.9.14)
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