トップ音楽
  J.パッヘルベル:3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調 より カノン
   Johann Pachelbel: Kanon und Gigue in D-Dur fur drei Violinen und Basso Continuo - Kanon



 ご存知、「パッヘルベルのカノン」である。それをテナーリコーダーとオルガンで合奏したのがこの録音。曲については、リコーダーを吹いてくれた後輩がコンパクトにまとまった解説を書いているので、演奏会のパンフレットをご参照。
 カノンというのは、「カエルの歌」の輪唱のように、同一の旋律をずらしながら重ねて行き、それを和声にするという作曲技法である。そして、この「パッヘルベルのカノン」は、全く同じ旋律を3つ重ね、それを8音からなる2小節を繰り返し続けるバスパートが支える、というのが基本的な構造となっている[46]。つまり、全体で57小節×4パートから成るこの曲は、一見すると228小節分の旋律があるように見えるが、実際には59小節分の単旋律をそのまま使い回しているに過ぎない。つまり、パッヘルベル手抜き疑惑・・・・・・いやいや、これだけシンプルな形に完成させるまでに、様々な苦労があったに違いない。
 サークルに於ける先輩・後輩というのも、カノンのような関係が望ましいように思う。先輩の方が経験・技量では一歩先に行き、それを後輩が追いかけて行くのであるが、このように異なる者たちが同時に存在することで、それぞれ異なる役割を果たしながら集団全体がきっちり調和する。こうした組織は、長く良く続く。
 そこで自分を振り返ってみると、大学院になっても相変わらず顔を出し、しかも腕前の方も相変わらず。先を行くカノンの主旋律というよりは、ずーーーっと同じ音を鳴らし続けるオルゲルプンクトのような気がして来た。
(2011.3.2)

上に返る