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 「カエルの主題に基づくワルツと葬送曲――そしてヨミガエル――」


 これは、2006年に、「カエルの歌」をテーマに演奏会をしよう、という話になった時に作った曲である。 既に大木社長[9]が「カエルのカノン」(単声版から四声版まである)を編曲済みだったので、 それを演奏会のオープニングに用いることとし、私の方はエンディング曲を作ることとなった。
 そこで、私は、家から3kmほどのところに住んでいる友人Wのところに転がりこんだ[10]。 彼のパソコンにはSingerSongWriterなる便利な作曲ソフトが入っており、それを使わせてもらおうとしたのである。 すると、Wは、快くパソコンを使わせてくれるのみならず、作曲についての知識・経験が豊富で、和声進行について多くのアドバイスをしてくれた。この曲を完成させることができたのも、Wの助力あってこそである。
 「カエルの歌」を3拍子にしたり短調にしたりしよう、という構想は既に脳裏にあったので、Wの助けを借りながら、「カエル・ワルツ」と「蛙葬送曲」はすぐにできた。しかし、これをどのようにすれば演奏会で使うことができるだろうか。エンディング演奏で2曲弾くというのは、どうも歯切れが悪い。
 考えているうちに、ふとひらめいたのが、「両方つなげてしまえ」という安易な案であった。前半は明るいワルツ、後半は一転して暗い葬送曲。さながら、夏にびょんびょん明るく跳ね回るカエルが、うっかり行き過ぎて路上で自転車で轢かれたように。しかし、暗いままで終わってはならない。カエルは復活しなければならない。そう、そこで「ヨミガエル」のである。
 こうして、「カエルの主題に基づくワルツと葬送曲――そしてヨミガエル――」が誕生したのである。


(2010.9.15)

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