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  E. A. L. サティ:オジーヴ 第3番
    Erik Alfred Leslie Satie: Ogive Ⅲ


 パリのノートルダム寺院の窓からインスピレーションを得たという曲で、曲名はゴシック建築の尖頭アーチ(Ogive)の意。ゆっくりと重厚に和音・倍音を重ね、天井の高い礼拝堂で大きなオルガンが響き渡る雰囲気を、ピアノで表現したもの(今回は、それを逆に本物のオルガンで弾こうという悪趣味な試み)。
 今回演奏するのは、四曲ある中の第三番。「d - e - f - d - c - A」で終止するかと思いきや、「d - e - f - e- c」で一旦止め、終止音となるはずの「A」のタイミングをずらし、かつ、ようやく「A」が来たかと思ったら「A-B-G-A-c」という具合に八分音符の別のフレーズが始まる。この緊張感が引き伸ばされて落ち着かない雰囲気を、かつて友人W[51]は「ドミナント(属和音)終止」と呼んでいた。これで一体、どんな形の尖頭アーチを表現したつもりなのだろうか。
(2011.6.22)

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