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  E. A. L. サティ:「ジュ・トゥ・ヴ」
    Erik Alfred Leslie Satie: “Je te veux”


 サティは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの作曲家で、通称「変わり者」。ドビュッシーやラヴェルに大きく影響を与え、西洋音楽を変えた人物と言われている。その作曲のほとんどはピアノのためのもので、それらをオルガンの演奏会で聴くことはあまりない。それをオルガンで弾いてみようというのが、今回の試みである(尤も、以前ジムノペディは弾いたことがある)。
 この「ジュ・トゥ・ヴ」は、サティの手に成るもののうち、最も有名なものと言える曲だ。曲名は「あなたが欲しい」「お前が欲しい」等と訳される。元々は甘い恋心をワルツに乗せて歌うシャンソンだが、現在では軽快なリズムのピアノ独奏曲として普及している。終始明るく楽しい曲調で、聴く人の足取りを軽やかにさせる佳曲である。
 その曲調の故か、テレビのCMや映画のBGMでも耳にすることも多い[50]。小節線や調号があるのは、サティの曲にしては珍しい。しかし、背後で流れ続けても全く気に触らないように作られている点では、彼の「家具の音楽」という理念を最もよく実現したものと謂えよう。
(2011.6.21)

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